2000万円

Question:老後資金2,000万円を貯めるには、月4万円の貯蓄だと厳しいですか?NISAなど活用すれば可能ですか?

Advice:期間を長く取れれば十分可能だと思いますが投資は元本保証はないので、リスクを理解しながらもNISAや公的年金を活用して非課税&リスク低減をしながらの運用が良いと思います。


今回は期間を1987年12月末~2025年05月末までの期間を考えます。
前提
計算期間は1987年12月末~2025年05月末までとします。
データ出所はMSCI-ACWIのドル建てグロスリターンはMSCI、為替レートは日本ヤフーファイナンス、Pacific Exchange Rate Service、消費者物価は世界経済のネタ帳です。


MSCI-ACWIのグロスリターンに近い運用成果を目指す投信はeMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)が代表例です。

積立投資の最悪のタイミングについては1998年07月末~2025年05月末までとします。
積立期間は1987年12月末~2025年05月末及び1998年07月末~2025年05月末の場合は、2025年05月末を除く全期間に対して毎月10000円とします。


厚生年金料率は2003年03月までは7.125/1000、2003年04月以降は5.481/1000として、ボーナスは考慮せず、標準報酬月額の上限、下限は考慮しません。

多少の誤差を含んでいる可能性がある為、参考程度にお願いします。

🐣まずは全期間で見てみます

ACWI基準価額


1987年12月末を10000円とした時の基準価額の動きです。
これを見るとアップダウンを繰り返しながら長期的には上がっている事が分かります。
2025年05月末の基準価額は244846円と1987年12月末時点と比べて約24.48倍にもなっています。


そこで物価上昇率と比べてみて果たしてそれ以上の値上がりになっているでしょうか?

出所は世界経済のネタ帳:日本の消費者物価指数の推移(1980~2025年) 
物価上昇率
1987年の消費者物価を84.45とするならば2025年推計では111.05となっています。
これは2025年5月時点での話なので大雑把には30%ぐらい消費者物価は上がっていると考えて良いと思います。


単純に基準価額を1.3で割っても購買力は約18.83倍も増えていますから、MSCI-ACWIへの投資ならば特に問題は無さそうです。

今度は毎月10000円を積み立てた場合のデータも見てみましょう。
ACWI198712-202505
1987年12月末~2025年04月末まで毎月10000円を積み立てたら2025年05月末には、35093042円となりました。
消費者物価は約1.3倍程度上がっていますから、1987年末当時の価値に直すと実に2700万円程度になります。


それでも大勝利ですね。
ただ、投資には必ずリスクがあります。
基準価額や積立をした時の資産評価額が波を打つようにアップダウンを繰り返しながら長期的には上がっています。


資産残高推移のグラフにはリーマンショックと東日本大震災の時期が記載されています。
この期間では資産評価額は大きく下がっても、大きな元本割れが無いので気が付きにくいです。


そこで、次は最悪のタイミングでMSCI-ACWIへの積立投資をやった場合を考えます。

🐣1998年07月末~2025年05月末の最悪の期間を考える

今度は1998年07月末~2025年05月末の期間を考えます。
この期間だともう最悪だとも思える期間です。
早速見てみます。

ACWI199807-202505_基準価額
これは1998年07月末の基準価額を10000円とした時の基準価額の推移を2025年05月末までをグラフにした物です。
期間の前半では2007年の高値があって、その後は基準価額が下落して数年程度は横ばいになる形です。
こう言う時には積立投資ではプラスのリターンが定着するまでは時間がかかります。


そこで積立のグラフと実際に起きたリスクを明示してみます。

1998年07月末から毎月10000円を積み立てた場合ですが、極大期が2007年10月末で資産評価額は1953403円(投資元本は1120000円で+833403円)です。
その後が大変です。

ACWI199807-202505
リーマンショックの後には元本割れの期間が2008年10月末~2009年11月末まで続き、その後は利益と元本割れ交互に起こります。
元本割れの最後は2012年07月末であり、この後は2025年05月までは利益でした。


元本割れが完全に終わるまでの期間は実に14年もかかりました。
このように投資のタイミングによっては、利益が安定しない期間が10年以上も続く事があります。


そこで、計算期間を変えずにグラフの表示期間だけを短くして1998年07月末~2012年08月末にして見てみましょう。
ACWI199807-201208
利益が安定していない事が分かります。

では、2025年05月末ではどうなったでしょうか?
資産評価額は15821248円(元本は3220000円)で+12601248円と十分な利益になっています。


実は2012年以降の基準価額は右肩上がりだった為です。
つまり、1998年頃から2012年頃までは基準価額の低迷が続いていました。


こう言った経緯があって、1998年07月末からMSCI-ACWIへの積立投資を開始した場合は14年間も利益が安定しませんでした。
資産評価額最悪

🐣MSCI-ACWIの期待リターンはどれぐらい?

JPモルガンの推定している期待リターンで見てみましょう。
出所:JPモルガン
世界株式ヘッジ無:幾何平均リターン年率5.20%、標準偏差19.01%


MSCI-ACWIの期待リターンは年率5.20%に近くなると考えられます。
過大な期待リターンを想定しないようにしましょう。
現実は、コストや税金がかかりますから、ここまでのリターンは望めないでしょう。
そこでNISAも活用して非課税も考えましょう。


過去の実績に基づけば、月4万円の積立で2000万円は期間さえ十分取れれば可能だったと言えます。
それに伴うリスクとして基準価額の下落や長期低迷がありますから、順調に増えて行くとは考えにくいです。


月4万円の積立で2000万円は可能なのか?と言えば100%ではない物の長期分散低コストを守っていれば可能性は十分あると見ています。
NISAは徹底的に利用しましょう。

🐣貯蓄ではどうか?

株式の期間を1987年末~2025年05月末としたので、期間は37年05ヵ月と考えましょう。
積立期間は37年04ヵ月間を月4万円を積み立てます。
この期間では月4万円の積立で2000万円は可能なのか?について考えます。

この場合は年率0.5654916%(月利0.0470026%)で可能になります。
現在では、個人向け国債変動10年の最新の初回利率は1.00%にもなっており、税引きでも0.8%近くなります。


期間を37年04ヵ月間とした場合は今の金利水準ならば十分可能です。
ただし、期間が長い為、物価上昇に負けるリスクにも注意が必要です。


出所:日本相互証券株式会社
10
向こう10年間の期待インフレ率は1.575%っとなっています。
仮にこれだけの物価上昇が年率で1.575%も37年05ヵ月間続けば物価は79.45%も上がる計算です。
今の2000万円は将来、11145239円に下がる計算です。


現在の日本は長期債でも実質金利が低く、貯蓄で2000万円を達成しても、物価上昇を考えるとゆとりが無いと言えます。

🐣公的年金も活用しよう

今まで見てきましたがMSCI-ACWIであれば期待リターンは年率5.20%と考えられるので期待インフレ率を上回っており、購買力を増やす意味では十分高いリターンです。

それに伴うリスクもあり、過去の事例を振り返れば1998年~2012年頃まではMSCI-ACWI(円換算、グロス)ではほぼ横ばいでした。
積み立てた期間によっては元本が割れたり、利益が安定しない問題があります。
現に1998年07月~2012年07月までの期間を積み立てた投資家は利益が安定しませんでした。
その後はほぼ一貫して上昇が続いた為、実績ベースだったらMSCI-ACWIへの投資は大成功だったと言えます。


MSCI-ACWIの標準偏差の推定はJPモルガンの世界株式ヘッジ無に近いと考えられて19.01%と見られる事から、決してリスクは低くはありませんから注意が必要です。

一方、貯蓄では今の金利水準を考えれば38年05ヵ月の期間(積立期間は37年04ヵ月)では、2000万円は確実性が高いと言えますが、実質金利が低く、37年05ヵ月後の2000万円の価値は現在と比べて大幅に貨幣価値が減って行く事が予想されます。

そこで、公的年金も活用します。
ここでは厚生年金を前提として料率については2003年03月までは7.125/1000、それ以降は5.481/1000としましょう。


死亡する年齢は分からないので、80歳まで生きる前提で計算してみましょう。
受け取りは65歳としましょう。
厚生年金は1988年01月から加入して標準報酬月額は22万円(ボーナスなし)で固定しましょう。

年金
標準偏差は1988年から2024年までを計算期間とします。
MSCI-ACWI単体ならば、確かに変動が大きく標準偏差に直すと年28.57%にもなります。
厚生年金(標準報酬月額22万円、ボーナスなし、65歳受取りで80歳までの受け取りの期待値)として計算してみると、毎年、受け取りの期待値は上がっています。


そこでMSCI-ACWIと公的年金の受け取り期待値の合計で計算された場合の標準偏差は19.79%となりました。
明かにMSCI-ACWI単体に比べて激減している事が分かります。

つまり、公的年金は株式のリスクを低減する方向に働きます。
万が一、投資や貯蓄に失敗しても公的年金が守ってくれるので、金融資産だけで考えるのではなくて、公的年金や保険商品などライフプラン全体で考えた方が良いのです。


月4万円の積立で2000万円は可能だとしても、その時点での物価水準を考えるとある程度の物価に追随する公的年金を含めてトータルで考えるとある程度の物価上昇に追いつけますし、株価の暴落の時でも公的年金は暴落しないんです。

FP協会曰く【金融資産運用も大事だがそれだけに偏ってはならない】とはっきり明言しています。
少なくともリーマンショック時ではMSCI-ACWIは大きく資産評価額は下っても公的年金の受取額の期待値は上がっていますからヘッジになっています。


勿論、金融資産2000万円は私は期間さえあれば十分可能だと思います。
頑張って欲しいと思います。
出来れば、物価を考慮した今の貨幣価値での2000万円が実現できて、公的年金が積みあがって来れば100満点です。


応援よろしくお願いいたします。
インデックス投資ランキング
インデックス投資ランキング

海外ETFランキング
海外ETFランキング